【カップルで映画感想文】今年初めてBlu-rayで買いたいと思った映画の話

2021年10月22日2022年4月25日映画レビュー

私が今年思い悩まされている人が俳優・菅田 将暉氏だ。

映画「そこのみにて光輝く」(2014年)、「火花」(2017年)、「キャラクター」(2021年)。そして極めつけが日テレで今年放送されたドラマ「コントが始まる」(2021年)。
氏が主役のそれぞれの作品を鑑賞し、心の暗部に抱える光が当たらない感情や、一度はなにかになる夢を見てそれを追いかけた者だけが知るひた隠しにしている傷に、見事フォーカスをあてられ続けている。

悩みの種がどんどんと成長し、ただのファンとなったそんな折、るぅパイちゃんからお待たせいたしましたお待たせし過ぎたかもしれませんとリコメンドされた作品が「花束みたいな恋をした」(2021年)である。

結論から言う。私はこの作品のBlu-rayを購入いたします。（それも豪華版）それくらい素晴らしい作品だった。

東京のどこにでもいそうな2人が、ほんの少しの奇跡で出会って、そこから恋が始まって。大方の映画であればその先の"死"や"欲望"や"ファンタジー要素"が物語の転換点になるのだろうが、この作品にはそれがない。
濃密な互いの感情を内包して、淡々とただ「恋が終わっていく」映画なのだ。その誰しもが経験する臨場感こそが、心をえぐられるような鋭利さになっているのだと私は感じている。(菅田くんの情けなさっぷり(の演技)がそれに拍車をかけている)

出会って、お付き合いして、楽しい時間をともにして、家族や仲間を紹介したりして、一緒に暮らし始めて、より良い生活を求め仕事をして2人での生活が日常になる…
なんの変哲もないモーメント。その時間の中でたしかに変わっていく人がいる一方あまり変わらない人もいる。その変化や経過の曲線上ですれ違った2人の違いは徐々に明らかになり、主張がぶつかり、軋轢を生んで、結果別々の考え方や感情になって関係が終わりへと向かっていく。
変化の緩急には性別や年齢、周囲の状況なんかも関係するし、相対的なものなのだろうが、それでも私たちの多くは変わっていく。夜ごと、奇跡のようなあの時の思い出を切望するくらい明らかに。

好きなものを好きと言い続けることは意外と難しい。「大人なのにビッグカツが一番の大好物です！」と高らかに宣言する人に多少なりともヤバみを感じてしまうのが大人というものなのだ。
適応に必要な変化をみな一様に「しょうがない」と言うし、あまり変わらない人に対して「いつまで子供みたいなこと言ってるの？」と揶揄するのだろうが、それは合っているのだろうか、間違っているのだろうか。
幸せを望んで変わる人。幸せでいる為に変わらない人。どちらも行きつきたいところは幸せであるにもかかわらずわかり合えない。なぜなのだろうか。

いくつもの自分に対する問い、世間に対する問いを浮かべたまま、ふとこう思った。
例えば、迷路を2人で進んでいるとする。進んだ先に分かれ道があってそれぞれの選択で別々の道を進むことになる。そうすると互いの声は聴こえるが姿は見えない。声を掛け合って前進するも、その迷路にはゴールがいくつかあって、気が付くと1人でゴールしてしまっていた。
分かれ道Aを進んだ人も、分かれ道Bを進んだ人も、自分が正しいと思った末での行動だから間違いではない。しかし一緒にゴールする為にはなにが必要だったのだろうか？

私は「戻るという勇気」なのだと思う。
自分が正しいと思う道と、相手が正しいと思う道は、一方にとっての正解でしかない。2人なら2人で進みたい方向を決めるべきだし、もし仮に分かれてしまったら互いに声を掛け合って振り出しに戻ればいい。時間も体力も使うがそれはしょうがない。2人なのだから。

劇中の麦くんと絹ちゃんはどの時点ですれ違ってしまったのだろうか？私はこの先るぅパイちゃんとの人生という名の戦慄迷宮を一緒にゴールできるだろうか？（したい！）麦くんも絹ちゃんも私もるぅパイちゃんも「戻るという勇気」はあった(ある)のだろうか…
極めてリアルな恋の一片を目撃した気持ち。今年中にあと2回は観たい！

1,仕事は楽しいともつまらないとも思わないなぜなら仕事だから
2,昔好きだったものに最近は心ときめかない
3,暇を持て余してあまり頭を使わないスマホゲームに興じていることが多い
4,上記3つともあてはまるアラサー男子諸君

にぜひとも観て感じてほしい作品。
同性の人達がどんなことを想うのかが気になるなぁ…(私は男ですが絹ちゃんの方が近い考え方だったんだよなぁ)